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「ひとみ(ASTRO-H)」衛星、ペルセウス銀河団に「静謐な」高温ガスを発見(大学院理工学研究科 田代信教授?寺田幸功准教授 共同研究)

2016/7/7

本学理工学研究科 田代信教授と寺田幸功准教授の研究グループは、エックス線での天体観測を通じ、宇宙の活動的な姿をとらえる宇宙物理学の研究を展開しています。当研究室は、ミッション提案時から約10年にわたり、JAXAやNASA、SRONほかと共同で、エックス線観測衛星「ひとみ(ASTRO-H)」に搭載した軟エックス線分光器SXSの信号処理部の開発や、搭載機器の解析ソフトウェアーの構築等を行ってきました。今回の発見は、2016年2月に無事に軌道に投入された「ひとみ」衛星の初期観測の成果です。

観測対象は、100以上もの銀河が集まった「銀河団」と呼ばれる天体で、大量のダークマターの重力により 5000万度以上もの温度を持つ高温ガスが蓄えられている宇宙最大級の天体です。今回、観測対象としたペルセウス座銀河団は、標準的な銀河団の一つであり、中心にあるブラックホールの活動で、高温ガスは激しくかき混ぜられた乱流状態にあるとされてきました。今回、「ひとみ」衛星SXSを用いて、高温ガスが発するエックス線のエネルギーを精密に分光したところ、乱れた運動の速さが毎秒164キロメートルである事が判明しました。太陽から約2.5億光年もの彼方にある銀河団のガスの運動を、秒速200キロメートルをきる精度で計測できるSXSの驚異的な分光能力が実証されました。測定されたガスの運動速度は、銀河団に含まれる銀河の速度を大きく下回るもので、この運動で発生する圧力は、高温ガスの温度による圧力のわずか4%に過ぎません。このように「静かな銀河団ガス」の存在は、これまでの予想を大きく覆す発見となりました。

本研究成果は、7月6日付(世界時)英国科学誌「Nature」のオンライン版に掲載されました。詳細は下記のJAXAからのプレスリリースをご覧下さい。

「ひとみ(ASTRO-H)」衛星 (c) JAXA

「ひとみ(ASTRO-H)」衛星 (c) JAXA

【関連リンク】

JAXAプレスリリース

NASAプレスリリース

英国科学誌「Nature」オンライン版

理工学研究科 田代?寺田研究室

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