◆埼玉大学創立70周年記念事業◆「感染症に挑む!-工学からのアプローチ-」埼玉大学連続市民講座part10「未来を照らす-知の最前線-」第3回を開催
2019/7/29
埼玉大学と読売新聞さいたま支局との共催による連続市民講座part10「未来を照らす-知の最前線-」の第3回を7月20日(土)に開催し、大学院理工学研究科の松岡浩司教授を講師に、「感染症に挑む!-工学からのアプローチ-」と題した講演を行いました。
講演ではまず、感染症とは細菌、ウイルス等の病原体が体内に侵入して症状が出る病気のことであると述べ、細菌とウイルスの違いについて、「増殖の仕方」及び「抗生物質への耐性」の観点から説明がありました。違いとして、細菌は自分の力だけでも増殖できる一方、ウイルスは人や動物の細胞の中に入らなければ増殖できないこと、ペニシリンなどの抗生物質は細菌を破壊するが、ウイルスには全く効かず、ウイルスを破壊する抗ウイルス薬が存在しないものもあるとのことでした。
次に、インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3つの型があり、そのうちA型は少しの遺伝子の変化で前年度のワクチンが効かなくなるなど、大流行が起こりやすい特徴があると説明がありました。
抗インフルエンザウイルス薬として、様々な薬が開発されているなか、耐性ウイルスが出現していることもあり、新たな抗インフルエンザウイルス薬が求められているとの紹介がありました。このような状況のなか、インフルエンザ阻害剤として薬の候補となる化合物を試行錯誤しながら合成し、外部機関と共同研究をして薬になりうるかを評価しているとの報告がありました。また、腸管出血性大腸菌O157に関して、現在は特効薬がなく、日本では浦和市(現さいたま市)で最初に発見されたということもあり、「ぜひとも埼玉大学から特効薬を出したい」と想いを熱く語りました。
最後に、工学からのアプローチとして、既知の理論を応用し、特効薬の効果を想像しながら化合物の合成?構造の解析、機能を評価するというサイクルのもと、工学の力で特効薬の開発に挑戦していることが述べられました。
当日は約310名の方々が受講し、講演後のアンケートでは、「孫にも話をしたい」「O157が旧浦和市で最初に発見されたと初めて知り、先生にはぜひ特効薬を見つけてもらいたい」などの感想が寄せられました。
次回は9月7日(土)に、大学院人文社会科学研究科の宮田伊知郎准教授による「アメリカにおける『豊かさ』の行方-郊外の過去、現在、そして未来-」と題した講演を行います。どなたでも受講でき、事前の申し込みも不要です。手話通訳も行われますので、お気軽にご参加ください。皆さまのお越しをお待ちしております。
講演をする松岡教授
講演に聴き入る受講生の様子
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