◆埼玉大学創立70周年記念事業◆「生物学の最前線-植物『液胞』を理解する-」埼玉大学連続市民講座part10「未来を照らす-知の最前線-」第2回を開催
2019/6/25
埼玉大学と読売新聞さいたま支局との共催による連続市民講座part10「未来を照らす-知の最前線-」の第2回を6月22日(土)に開催し、大学院理工学研究科の森安裕二教授を講師に、「生物学の最前線-植物『液胞』を理解する-」と題した講演を行いました。
講演ではまず、植物細胞生理学について初学者でもわかるように、17世紀にイギリスの物理学者Robert Hookeが自作の顕微鏡でコルクの切片を観察した際に、断面に無数の「小さな部屋」があるのを見つけ、Cellと名付けた歴史的経緯から説明がはじまり、適宜、化学の基礎を復習しながら講義が進みました。続いて、細胞膜の構造の説明のほか、植物細胞がもつ膨圧について、身近な事例(グレープフルーツを食べるときに、2つに切って、スプーンを差し入れようとすると、ジュースが顔にかかること)を交えての説明がありました。
その後、今回のメインテーマである植物の「液胞」についての解説があり、「液胞」は植物細胞に特徴的なオルガネラであること、細胞充填材として働くこと、オートファジー(細胞がタンパク質を分解して再利用する細胞の自食作用)で中心的な役割を果たしていること、物質を貯蔵する役割を持っていることが身近な事例(埼玉大学に咲くあじさいの花の色など)をとおして説明がありました。
当日は約250名の方々にお越しいただき、講演後のアンケートでは、「高校で生物を教えていますが、液胞についての見方、捉え方を変えることができ大変参考になった」という現職教員からのコメントや「グレープフルーツの話は、目からうろこだった」「生物学が身近になった」などの感想が寄せられました。
次回は7月20日(土)に、大学院理工学研究科松岡浩司教授による「感染症に挑む-工学からのアプローチ-」と題した講演を行います。どなたでも受講でき、事前の申し込みも不要です。手話通訳も行われますので、お気軽にご参加ください。
皆さまのお越しをお待ちしております。
講演を行う森安教授
熱気あふれる会場の様子
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