【埼大生による訪問レポート】企業訪問/株式会社 ショーモン
2016/01/07
埼玉大学では、自分の夢にチャレンジする元気な学生を育てることや、卒業生と大学とのリレーションをより緊密にして行くことを目的として、「埼大生による経営者インタビュー」や「埼大生による先輩訪問」など、埼大生による企業訪問の取組みを行っています。
学生が、各界でご活躍されている経営者や卒業生を訪問してインタビューを行い、感想や他の学生に伝えたいことなど、学生がレポートを作成して発表していきます。
1.訪問先
株式会社 ショーモン 代表取締役 松澤 博三
2.会社概要
?本 社 埼玉県さいたま市見沼区片柳1045-1
企画開発室 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5 大宮ソニックシティ16F
ミッションランド 久喜市河原井町27
さくら工場 さいたま市岩槻区大字横根2-1
ひまわり工場 白岡市下大崎740
?資本金 10,000,000円
?設立年月日 昭和48年7月17日
?事業内容 産業廃棄物収集運搬業
産業廃棄物処分業
特別管理産業廃棄物収集運搬業
特別管理産業廃棄物処分業。
一般廃棄物収集運搬業
機密文書収集運搬業
RPF製造(廃プラスチック類等リサイクルの固形燃料)
運送業
建設業(総合解体業)
?従業員 100名
?ホームページ http://www.shomon.co.jp/company/
3.訪問学生
大塚 愛真 経済学部 経営学科 3年
関根 駿介 理工学研究科 メカノロボット工学 1年
(同行者)
伊藤副学長、星野参事役、高倉(環境制御システムコース事務)、富田(監査室)
4.訪問日 平成27年12月21日(月)
5.学生所感
今回私たちがお話を伺った株式会社ショーモンは、主に産業廃棄物を扱っている会社です。普段私たちがゴミを出してからゴミ処理場に運ばれるまでは想像しやすいですが、ショーモンでは、企業や病院から出た廃棄物という特殊なゴミを扱っています。
この企業訪問では、今年6月にオープンしたばかりの「ミッションランド」を見学させていただきました。ゴミ処理場と聞くと、暗くてジメジメしたイメージを抱きがちですが、ミッションランドは建物の色も明るく、ゴミ特有のにおいもほとんど感じません。さらに、見た目だけではなく、その役割も特徴的です。「本格的資源循環工場」と表現されているように、ミッションランドでは、ゴミの“処理”だけではなく、“活用”まで視野に入れています。例えば、焼却施設では生じた熱によって発電を行い、工場内の電力として使用し、余ったものは売電することによって、CO?削減に貢献しています。ミッションランドの周りには、すぐそこに住宅地や田んぼがあります。徹底的なにおい対策や安全対策などの緻密な配慮によって、人々の生活空間との共存を実現している点がミッションランドのすごいところだと思いました。
産業廃棄物は特殊なゴミ、中には医療用廃棄物といった危険なゴミも含まれます。よって、処理方法や工場の設立に関して、国からの規制や住民からの意見など多くの制約があります。そういった制約をすべてクリアした工場を建てるには、相当な技術力と経営力が必要です。それをやってのけるだけの挑戦心と能力がショーモンに備わっていたことは、工場見学を通して身をもって感じました。
また今回の企業訪問は、技術の役割について考えさせられました。ミッションランドには、ゴミを分別する工程や、中身の入ったペットボトルから中身を取り出す工程があります。これらの工程は、今まではそのまま焼却せざるを得なかったものを、技術の進歩によって、より効率的にリサイクルできるようにしたものです。しかし、ゴミを分別することやペットボトルを洗うことは、本来私たち個人で行えるものです。もし、私たちがきちんとゴミを出していれば、資金や技術者を別の工程に移すことができ、より高度な環境貢献を実現できるのではないかと思いました。技術は私たちが楽をするためのものではなく、私たちの生活や地球環境を豊かにするためにあるべきものです。技術のあり方やその使いどころをもっと考えていく必要があると感じました。
経済学部経営学科3年 大塚 愛真
今回私たちは、株式会社ショーモンの廃棄物処理工場を見学させていただきました。「ミッションランド」と名付けられたその工場は、平成27年6月に稼働したばかりの本格的資源循環工場で、今までの廃棄物処理施設のイメージとは全く違うものでした。
まず、廃棄物処理施設に対するマイナスイメージです。私の廃棄物処理施設に対するイメージは、「周囲にゴミの臭いが充満し、垂れ流された汚水で土壌や水質を汚染してしまう」というものでした。しかし、このミッションランドでは、これらの問題に対して全て対策がとられていました。臭いに対しては、二重シャッターや脱臭装置、脱臭効果のある液体の散布などを行い、清掃などで排出される汚水もそのまま外部に流れ出る事のないようになっています。さらに、分別を行う建物内は、誇りの飛散を防ぐためにミストが散布されていました。これらの周囲に配慮した設備の成果なのか、工場に到着した時には廃棄物処理施設特有の不快な臭いは一切ありませんでした。細部まで徹底した設備でマイナスイメージを払拭しているところに、ショーモンの企業努力を感じました。
次に、最先端の廃棄物処理能力です。今までのイメージでは、単純に分別後燃やすだけだと考えていました。しかし,ミッションランドでは、クリーンで効率的な廃棄物処理のために、多様な処理方法で対応していました。まずはもちろんゴミの分別を行いますが、缶詰やペットボトルに関しても、中身と容器の分離を専用の機械で分別することで、リサイクルも焼却も効率よく行えるようになっています。また,液体や半固体の廃棄物などのようにドラム缶に入れられているものに関しても、自動化、ロボット化された専用のドラム缶投入機により、安全に処理することができています。さらにこのドラム缶投入機でも、内容物の飛散や悪臭を防ぐための対策がとられているなど、環境や周囲への配慮がうかがえました。また、感染性医療廃棄物という特殊なゴミについても、腐敗防止の冷蔵保管庫を設置し、専用の自動投入口により、クリーンかつ安全に処理できるようになっています。そして、一番の要となる焼却設備ですが、ミッションランドの焼却設備はタービン発電施設を併設しており、サーマルリサイクルを行っています。要するにゴミ焼却時の熱を利用して発電を行っているということですが、これはついでに行うというわけではありません。サーマルリサイクルとはゴミをエネルギーとしてリサイクルするため、結果的にただ燃やすだけの場合よりCO2を削減することができます。これにより年間2300tのCO2を削減しているそうです。発電した電力で、工場内で必要な電力をまかなうことができ、さらに、余った電力を電力会社に売っているそうです。
技術的な部分にばかり目が行きがちでしたが、全体を改めて振り返ると、企業としての経営力、挑戦力の強さを感じました。「クリーンで最先端の設備のうえ、発電を行うことで払うはずの電気料金が逆に利益になる」これは環境にとっても企業にとっても理想的な施設です。しかし、簡単につくることができる施設ではありません。細部まで見れば見るほど、完成までにはかなりの苦労があったことを感じました。設備の設計や国の認可など、様々な壁があったそうです。多額の投資によるリスクを乗り越え完成させたミッションランドは、ショーモンの企業努力の結晶だと感じました。しかし、松澤社長はもっと先を見ているようでした。従業員の安全性を向上させるための設備はどうしたらいいかなど、より良くしたいところを具体的におっしゃっていました。そういう話を聞かせていただくと、「運搬車を電気自動車にして発電した電気で動かせば運搬時のCO2削減もできるのではないか」「3Dカメラなどによるリアルな遠隔化で制御室の安全性を高められないか」など、色々なことを考え、どんどん楽しくなってきている自分がいました。ミッションランドに訪問し、技術の素晴らしさを感じることができたこと、挑戦を続ける松澤社長にお話を聞けたことは、将来の自分に大変役立つものでした。
理工学研究科メカノロボット工学1年 関根 駿介
久喜菖蒲工業団地内に設立された(株)ショーモン、ミッションランド
同行した伊藤副学長、大塚さん、高倉さん(環境制御システムコース事務)、関根君
熱心に説明を聞く
施設内見学風景 1
施設内見学風景 2
お世話になった松澤代表取締役(右から3人目)を囲んで!