2021/04/22
中国竞彩网2年度の卒業生、素粒子理論の研究者を志す久保飛翔さんが「梶田隆章賞」を受賞しました
次世代を担う若手研究者を後押し!
2021/04/22
次世代を担う若手研究者を後押し!
(川越東高等学校出身)
毎年、若手研究者の育成推進を目的として、高い研究者への志を有する埼玉大学の卒業生を表彰する「梶田隆章賞」。2021年3月25日(木)に行われた表彰式後、中国竞彩网2年度の受賞者に聞いた喜びの声を紹介します。
1981年に本学理学部を卒業され、2015年にノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章先生(東京大学宇宙線研究所所長?教授)の栄誉を称え、梶田隆章先生の寄附をもとに設けられたのが「梶田隆章賞」です。2017年度の創設以来、次世代の若手研究者の育成を推進することを目的として、学業において優秀な成績を収め、高い研究者への志を有する大学院進学予定の卒業生1名を毎年表彰しています。
――梶田隆章賞の受賞、おめでとうございます。まずは受賞の感想を聞かせてください。
受賞はとても光栄です。このような素晴らしい賞をいただけたのは、これまで支えてくれた埼玉大学の先生方、研究室の先輩や同期の友達、後輩、そして家族をはじめとするいろいろな形で私をサポートしてくれた皆さまのおかげだと改めて感じています。梶田先生はそれまでの物理学に非常に大きな衝撃を与えたニュートリノ振動を発見されました。埼玉大学卒業後も研究を続けていく予定ですが、そんな梶田先生の名を冠した賞に恥じぬように、日々精進しながら研究に邁進したいと思います。
――ご自身では、どのような点が評価されて、賞を贈られたと思いますか?
埼玉大学の研究室の指導教官である谷井義彰先生からは、研究に対して粘り強いところを褒めていただきました。私が専攻しているのは、素粒子物理学の中の素粒子理論という分野で、高度な数学のスキルが求められます。時には複雑かつ難易度の高い計算が必要になることも――。それでもあきらめずに取り組む姿勢が評価されたのではないでしょうか?
――なぜ素粒子理論を専攻したのでしょうか?
物理学は、自然界の基本法則を追求したいという志を持った研究者たちが発展させてきた学問です。高校時代、物理を学ぶ中で、そのような志に感銘を受けるとともに、たった一行の数式で自然法則を記述すること、そしてその数式の美しさに惹かれたことがきっかけでした。そして、大学に入学したら、物理学の中でも、特に根源的な自然界の基本法則を追求している学問領域である素粒子物理学を学びたいと考えるようになったのです。
――埼玉大学での4年間はどのような大学生活でしたか?
常に「大好きな物理の勉強や研究ができるのは、今だけかもしれない」という気持ちで、できるだけ勉強や研究に時間を使うようにしてきました。周りに物理が好きな仲間に囲まれた環境に身を置ける喜びや嬉しさもあったと思います。いずれにせよ、物理学は勉強すればするほど自然界を理解でき、面白く感じる学問です。元々わからないことを知りたい、解明したいという気持ちが強いので、理解が進むほどに自然界の見え方が変わっていくことが楽しくて、学ぶことがつらいと思ったことはありませんね。
――大学卒業後の進路について教えてください。
東京大学大学院 駒場素粒子論研究室の大川祐司先生の下で、超弦理論の研究に携わる予定です。超弦理論は「素粒子は、粒子という“点”ではなく、“ひも状”の弦である」という理論。これまでの物理学から考えると非常に大胆なアプローチからの考え方になりますが、この理論は自然界のすべての力を統一する理論になると期待されています。大川先生は、そんな研究の最前線で活躍されている方なので、まずは最先端の研究の現場でどのようなことが行われているかを理解し、研究を進めていくにあたって、自分に足りない知識やスキルを身につける努力をしていきたいと思います。
――将来の目標、抱負を聞かせてください。
素粒子物理学の研究は、私が現在、唯一やりたいと思うものですので、将来はこの分野の研究者になること以外は考えていません。そんな目標を実現した暁には、自分の研究にひたむきに取り組んでいくような研究者になりたいです。
卒業生代表者との記念撮影。2列目左でクリスタル盾を手に微笑む久保さん