2021/01/07
【工学部】自動運転実現のカギとなる組込みソフトウエアの性能向上を目指して
工学部 情報工学科/安積研究室
2021/01/07
工学部 情報工学科/安積研究室
特定の機能を実現させるために家電や機械に搭載される「組込みシステム」を制御するソフトウエアの研究を行っています。
その中で、現在、注力しているのが、自動運転車に搭載する組込みシステムの開発です。予め用意された地図データを用いて、経路計画を行い、その計画に沿って自動車を動かす自動運転システムにおいて、安全な走行を実現させるには、様々なセンサーを使って、周囲の自動車や歩行者、信号機などの情報をリアルタイムで自動車に認識させなければなりません。
私の研究では、これらのことを同時に行いながら、ハンドルやアクセル、ブレーキを適切に制御するソフトウエアを開発しているのです。
自動運転には、その達成度による5段階のレベルが設定されていて、現在、実用化されているのは「レベル2」になります。これは前を走る自動車に追従したり、車線を認識して走行できるというレベルですが、私たちが目指しているのは、バスのように決められたルートの中で自動走行を行う「レベル4」や場所に縛られずに自動走行を行う「レベル5」の自動運転です。※「レベル3」は、基本的には自動走行しますが、危険時等はドライバーが対応します。
そして、この目標を達成するために求められるのが「リアルタイムシステム」という仕組み。これは様々な処理を同時に行うことはもちろん、それぞれの処理を決められた時間の中で完結できるシステムのことで、自動運転でコンピュータが正確な判断を行うためには必要不可欠だと言えます。
そんな「リアルタイムシステム」を実現させるポイントの1つに、コンピュータの頭脳であるプロセッサの省電力対策があります。なぜなら消費電力が大きくなると、プロセッサは、熱を発し、性能の低下や故障を招くからです。
そこで、プロセッサをうまく動かすことで、消費電力を抑えるソフトウエアの開発を行っています。もちろんプロセッサ自体の技術革新も必要ですので、プロセッサを製造する企業などと連携しながら、理想的なシステムのカタチを模索しているのです。
なお、現時点では、以前は1000Wほど消費していたプロセッサの消費電力量を10分の1程度に抑えることができていますが、今後は16Wにまで落とすことを目標に取り組みを進めている最中です。